★三国志妄想伝★
★軍師&劉備1★
  泥棒の片想い (※要注意なル劉)
耳たぶを唇で挟み、食むように弄ぶ
弱く歯を立てて甘噛みすると、押し退けるように力が込められていたはずの手が、縋るように衣の襟を掴む
さらに熱を帯び始めた耳を、舌先で舐め上げる
聞かせるようにわざと音を立て、吸い付いては舌を這わせる
劉備はその行為を身を屈めて受けているが、拒む様子はない


「嫌だ」でも「止めろ」でも、何でも良い
少しでも拒絶の言葉を吐けば、止めるつもりだった

だが劉備の口からは熱い息だけが吐かれる
堪えては漏れる、不規則に乱れた息が、ルパンの耳をかすめる
その度に全身の血が熱くなるのを感じた


まるで前戯のようだ、と
五右ェ門に言った言葉が思考の片隅を過ぎる




「少し、戯れが過ぎましたな」
ようやく劉備を解放して、いつものように完璧な笑顔を作る

「うむ…」
劉備は片耳を押さえながら俯いた
耳も、頬も赤く染まっている
わずかに伏せられた瞳が潤んでいるのは、何かを感じたからだろうか

そんな事を考えて、ふと気付く



俺は拒絶の言葉を待っていた訳じゃない


もっと俺を求める言葉を期待していた
この行為に俺が感じたと同じものを、劉備も感じればいいと思っていた


やはり押し倒しておけば良かった

無理やり押し倒して強引に迫れば、きっと拒絶の言葉を叫んだはずだ
それを聞けばこんな馬鹿な考えは吹き飛ぶに違いない


劉備が俺を求めるなんて、有り得ない事だ