★ルパン&曹操1★
両雄の戯れ (※要注意なル曹)
「どちらの口付けが上手いか、比べてみぬか?」
まるで飲み比べでもするかのように、曹操は悪戯な笑みを浮かべて言った
二人きりの酒宴での戯れだ
「面白ぇじゃないの」
ルパンも笑って、手にした杯を卓上に戻した
断れば自分が下手であると認めるようなものだ
盗みの技術よりも、キスのテクニックには自信がある
たとえ相手が『姦雄』だろうと、負ける気がしない
「比べるまでもなく俺の圧勝だぜ、丞相」
笑みを見せながら、ルパンがするりと曹操の傍らに身体を寄せる
音もなく影の様に近付いた身のこなしに、曹操はひそかに感心した
――やはりこの男はただ者ではない…
衣の袂が触れ合う程の距離にいるはずなのに、まるで陽炎のように実体が感じられない
これでは背後に立たれても気付かぬだろう
――もしこの男が暗殺者であれば、すでに我が命は絶たれている
そう考えると背筋が冷えた
「夏侯惇とは、しているのか?」
心中を隠すように不粋な問いを投げ掛ける
ルパンはとぼけてみせた
「『してる』って、何を?口付けのこと?それとも、それ以上?」
「両方だ」
「それだったら聞かれるまでもねぇ!いつも『口付けだけでは足りん』って言わせてるぜ?」
「ほぉ、あの堅物がのぅ」
曹操は意外そうな顔をして、視線をルパンから外すと、笑いを堪えた
散々煽られて自我を忘れる夏侯惇の様を思い描くと、滑稽と言うより、どこか愛らしいものに感じられた
しかし曹操は夏侯惇がどんな性質か熟知している
堅物は、どこまでも堅物である
「あやつがそんな言葉を吐くとは思えぬが」
「俺の前では、どんな忠臣も素直に欲望に従うのさ」
曹操の指摘にも構わず、勝ち誇ったようにルパンは笑う
つられるように曹操も笑みを見せる
「このわしもか?」
「勿論!」
ルパンは即答する
「将軍と同じ台詞を吐かせてやるぜ」
まるで獲物を見付けた猛獣のように、その瞳が鋭い光を放つ
「たいした自信だな」
目の前に置かれた酒肴の乗った膳を脇へずらすと、ルパンを見据えるように曹操が目を細めた
そこにも鋭い光が見えた
これ以上書くと危なくなりそうなので、ここら辺で終了!!