★三国志妄想伝★
★夏侯惇&ルパン3★
  闇を焼く (※要注意な惇ル)
大きく胸を上下させながら辛そうに呼吸を繰り返す
熱くかすれた息が首筋に当たる
それが夏侯惇を昂ぶらせた

いつもそうだ
恥じらいもなく自分から誘い、娼婦のように肢体を絡み付かせて散々煽ってくるくせに、
事が始まれば、まるで静かに拷問に堪えているかのように快楽とは無縁の顔をする
激しく息を吐きながら、それでもこちらに甘い嬌声の一つも聞かせる気はないらしい


苛立ちに似たものが腹の底から沸き上がる
その感情のままに、強引に腰を動かす
「…あ…っ…!」
突き刺すように動かれて、さすがに耐え切れず声を発する
たった一瞬、漏れた喘ぎ
それを隠すように唇を噛んで、ルパンは再び身を固くする
わずかに震えているのは痛みからか、屈辱からか分からない


それを見て、頭が冷えた
しばらく悔悟した後で、低く呟く
「……痛いか?」
思い掛けず受けた遠慮がちな問いにルパンが喉の奥で、くっ、と笑った
目を細めて夏侯惇と視線を絡めると、無理やり口の端を上げて笑みを作る
額に汗を滲ませ、頬や首筋を赤く色付かせながらも、決して劣情に染まることのない漆黒の瞳が、射抜くように見据えてくる
その顔が、夏侯惇は気に入っていた
殺気を孕みながらも僅かに潤んだ瞳が、ひどく煽情的だ


ルパンはゆっくり息を吐きながら、夏侯惇の汗ばむ首に細腕を回し、愛を囁くように耳元でかすれた声を響かせる
「将軍に…斬られた時のほうが、もっと……痛かったぜ…?」


脳裏に浮かぶ光景

斬り裂かれ鮮血を噴く身体
風に舞う桃の花

死を傍らにして
蒼白の顔に浮かべた
歪んだ笑みと漆黒の瞳


夏侯惇はかすんだ記憶を辿りながら、言葉を探した
「…命があるだけ有り難いと思え」
吐き捨てるような言葉を、ルパンは笑って受け止める
「そっちこそ…俺を抱けるなんて、有り難いと思ってくれなくちゃ…」
「何を…馬鹿な事を…」
それ以上の会話を拒むかのようにルパンの口を塞ぐ
息も出来ぬ程の強引な口付けを、やはり抵抗もせずに受ける
夏侯惇を捕えて離さない瞳も、今は閉じられている
しばらくしてルパンはむせるように熱い息を吐いた



どこまでも屈する気のない男を両腕に収めながら、

闇を焼くような交わりが続く